加齢性黄斑変性症
に対する光線力学療法
人間の眼は「角膜」「水晶体」「硝子体」を通って「網膜」の上に像を写して物を見ます。カメラで言うフイルムにあたる網膜の中心部は黄斑部と呼ばれ、物を見るために最も大切な部分です。この黄斑部が加齢による老化現象によって異常が起こることを加齢黄斑変性といいます。
眼球の基本構造
眼底の正面図
加齢黄斑変性の種類
滲出型(新生血管型)加齢黄斑変性
眼底写真
この新生血管は非常に弱く出血したり、血液成分が網膜に漏れだして視力低下や部分的に視野欠損を起こしたりして症状が進行します。
蛍光眼底写真 早期
中期
後期
萎縮型加齢黄斑変性
当院にて光線力学療法(PDS)を行った症例
症例1 77歳男性
平成17年7月4日某病院より紹介され当院初診。
視力右0.15(0.6×-0.5D=CYL-1.75D AX85°) 左0.06(0.08×-1.75D=CYL-1.0D AX80°)
左眼には典型的な加齢性黄斑変性を認め、平成17年7月19日に左PDTを施行した。
平成17年11月26日現在、視力左0.1(0.4×-2.0D=CYL-1.0D AX65°)と改善した。
術後黄斑部の浮腫は軽減した。
Leak は著明に低下。
PDTの照射範囲は6000μmで照射した。
OCT
(術前のOCT のデータは無し)
症例2 84歳男性
4,5年前より視力低下が進行し、平成17年9月12日に初診。
視力右0.8(1.0×CYL-1.0D AX90°)
左0.08(n.c.)と低下。
両眼に加齢性黄斑変性を認め、平成17年10月4日左眼にPDTを施行した。
術後視力左0.1(n.c.)とやや改善しております。
黄斑の白色隆起性病変が縮小
中心窩の陥凹が出現した。
治療法について
原因によって治療法は手術方法が異なります。
1.レーサー光凝固術
新生血管をレーザー光で焼き固める治療です。新生血管が網膜の中心にない場合に行われますが、網膜のレーザーで焼いた部分は機能が失われてしまいます。
レーザー光凝固術の網膜図
2.光線力学的療法
光に反応する特殊な薬剤を体内に注射して病巣部にレーザーを照射する方法です。特殊薬剤が黄斑部の新生血管のところに集まるという特性を利用し、特定の限られた光線をあてることで、その物質は活性酸素を周囲に発生させこれが網膜へのダメージを抑えながら新生血管を破壊します。
必要に応じて期間をあけて数回治療する事もあります。
PDTの網膜図
PDTを受ける際の注意
- 治療には2日間の入院が必要になります。
治療に使用する薬剤は光感受性物質ですので、薬剤投与後48時間は光線に対して過敏になります。そのため48時間は皮膚又は眼を直射日光や強い室内光に暴露されないように注意する事が必要です。 - 治療後3〜5日眼は出来るだけ日中の外出は避け、入院中と同様の注意をする必要があります。外出の際にはサングラス、つばのある帽子、長袖シャツ、長ズボンなどを着用するなどして下さい。
- 強い光とは家庭で使われているハロゲンランプ(オーブンレンジ・ハロゲンコンロ・ハロゲンヒーター・他に読書用の照明にも用いられている場合あり)やコピー機、スキャナー、映写機、プロジェクターなどです。
- その他、日焼けサロン、舞台照明、写真スタジオ、ショールームの照明などがあります。
- 裸電球やネオンライトの強い光の側に長時間いる事は避けてください。
加齢黄斑変性の自覚症状
- 変視症(物が歪んでみえます)
- 視力低下(ぼやけて見えます)
- 感度の低下(物が不鮮明に見えます)
- 中心暗点(見ようとする部分が黒く見えます)
片目を閉じて表の中央の白い点を見て下さい。
上記のような症状がないか時々チェックする事が大切です。
詳しい内容は医師までお尋ね下さい
加齢黄斑変性についてご不明な点がありましたら
ご遠慮なくお気軽にご相談下さい。
ノバルティスファーマ株式会社